KOMA|木製椅子|木工家具職人|松岡茂樹blog|2015,11,30

オーダー家具|無垢家具|東京の家具工房【KOMA】

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2015,11,30/ウチの若い衆





嬉しいことのつづき。



そう言えば俺は「木工作家」なるものになりたくて独立したのだったことを思い出した。

たった二年できれいサッパリ辞めることになるのだが、今となってはどうでも良い。
早い段階で「一人じゃなんにも出来ねえ」ってことが知れて良かったと思っている。

生き残っていく為には、投資した時間や金に執着しないで時にはサッパリ諦めて、トライ&エラーの回転数を出来るだけ速くすることが重要だと今は思うからだ。
日、月、年といろんな回転軸が持てるとイイと思う。


独立してすぐの25歳から、ありがたい事に百貨店の催事で「全国クラフトフェアー」や「椅子のオーダー相談会」「実演販売」などに呼んでもらえる機会を得た。

なかなか出入りするのが難しい百貨店に独立1年目から呼んでもらえて、
木工作家としての第一歩だ!なんて浮かれていたが、

すぐに「そんな甘くない」を知る。



今思えば、超アマちゃんだが当時はそれなりの自信があった。
きっと10年後には今を振り返って同じように思うのだろうが。。


売り場には北海道から九州まで全国の家具作家が集まっていた。

隣のブースは集成材の板をBOX状にした組み立て家具。
俺の家具はカンナやカタナを駆使した無垢材の削り出し。

余裕で通用するな〜なんて思った。
正直に言うと「勝ったな!」なんて思ってた。


ココから先は想像どおり。

俺の家具は全く売れない。

隣のおじさんの家具はバンバン売れる。

2週間の期間が終わって売上の差は10倍以上だと思う。

イヤでも気付く。

彼には数十年を継続した歴史があるのだということ。
それに伴う顧客がいた。

数十年も掛けて積み上げられた「売る環境」があるのだ。

そして、人に使ってもらえて初めて商品としての価値があるのだ。


作るだけじゃない。
知ってもらい販売に繋げる努力の継続。

当たり前だが、そうして持続可能なものづくりが出来るのだと知る。


俺には作るしかない。
だから人に使ってもらえない。
商品としての価値が無いのと等しいという事を知る。

そんな当たり前も知らずに調子に乗って独立してしまったのだ。


俺と、このおじさん。。
勝つとか負けるとかじゃない。

数十年の積み上げの差。

次元が違う。

恥ずかしくなった。





そんな事を1年繰り返した。

結果はどれも散々。惨敗だった。


ある催事で、
修業時代から目をかけてくれている営業マンの三浦さんが販売の手伝いに来てくれた。
「良い家具つくってんだから〜自信もてよ〜」

でもやはり惨敗だった。

なんの継続も無い人間に社会で結果なんて出るはずが無い。
三浦さんにも申し訳ないと思った。


その夜、二人でラーメンを食べた。

なんだか急に泣けてきた。

「オイオイ!ど〜したんだよ〜情けねえな〜男だろ〜」
江戸弁で言いながら三浦さんも泣き始めた。

「悔しいな〜」
二人で言いながら嗚咽した。

26歳と70歳が嗚咽しながらラーメンを食ってる様は、
周りから見れば異様な光景だっただろう。

こちらを伺っていた大学生らしき若者数人に
「見せモンじゃねんだよコラァ!!」
26歳と70歳で当たり散らした。




とにかく悔しかった。

そして、木工作家はきれいサッパリやめることにした。

人よりちょっと作れる位じゃどうにもなんねえ。

このまま続けたら、何となくメシは食えるようになるだろう。

でもそうじゃない。


世界一になりたいんだ。
歴史を創りたいんだ。

目標は変えない。

なぜなら、
先輩達から引き継いだバトンを最高のカタチで後輩達に繋ぎたいからだ。


俺一人では、それを叶えるための能力は無いってことを思い知らされた。

だったら、チームとして目指そう!に切り替えた。


小さくても良い。
役割分担ができる組織を創ろう。

んで、俺は人よりちょっと作れるじゃなくて
圧倒的に作れるってところまで、ものづくりを突き詰めようと思った。



まず一年前に喧嘩別れした亀井に声を掛ける。
断られるも半年かけて口説く。

環境整備のため、出来る仕事は何でもやろう。

1年で1000万貯める。
工場を引っ越そう。
設備を入れよう。
若い衆を雇おう。

10ヶ月で叶えた。

人材育成が始まる。


イイ子達に恵まれているにも関わらず定着しない。
全て俺の問題だと知るのに10年かかった。



今は、本当にスゲー奴らに恵まれたと思う。
神様だか仏様だかに感謝する。




そんで、やっぱり。

世界一になりたいんだ。
歴史を創りたいんだ。
引き継いだバトンを最高のカタチで繋ぎたいんだ。

チームとして叶えるんだ。


なんつって

また俺のアホみたいな話で前置きが長くなっちゃった。。。


「ウチの若い衆」次回から本番!

世界一の若い衆たちだ。



「荻野隆雄」につづく